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星になりたかった。

太宰じゃない、僕でしかない

 その人には交際している人がいた。

 そして僕は、その人にとって信用されている人間だった。

 つまりその人には、恋をする人と、人として好きな人がいるわけだ。

 心というものを定義づけるとき、心の中のグラデーションを、境界線として区切ろうと考えたとき、それは非常な困難を招く。

「恋する人」

「何でも話せる人」

 僕はこの立場のことを何も考えずに、その子と親交を続けていたけれど、ある時そのこの恋人から立場をわきまえるよう、言われた。ここで初めて僕は気づいたのだ。

 考えてみれば、交際相手が他の同性と仲睦まじくしていたらあまり心よく思わないのは当然の李であった。

 だから身を引こう、と言って簡単に身を引けたらいいのだけれど、物事というのはそこまで簡単にできているものではなかった。

 「その人」は人よりも抱えるものが多い人だった。それゆえ、その抱えを吐露できる場所は少なかった。僕は「その人」にとってそんな、数少ない場所の一つであったから、たやすくそれを破壊するのは中々に、中々だ。

 そして、「その子」にとって恋人は、吐露できる場所ではなかった。それはたぶん、好きな人に迷惑をかけたくないとか、格好の悪いところを見せたくないとか、いろいろな心理が働いているからなんだと思う。

 どうすれば、僕は「その子」にとって毒にならず、薬になるのだろうか。

 太宰は、「人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもない」と言っていた。

 そう物事を俯瞰して、達観したように喋ることができたらどんなに良かっただろうか。不器用な僕は、不規則な縫い針の動きに指を痛めながら、「その子」を考える。