でんちゅう随想録

夜のような虚無が好き。

嗚呼惰性

 生きているから生きている。

 理由なく、生きていることはベースでそのうえからペーストするように生活するのが普通で。

 離れたがる僕の心は、そのベースに違和感を握ろうとする。

 窓外夜の明かりが僕の瞳を反射して、帳が降りると便乗して僕の肩もおりる。

 憂鬱な思いは、味のないパンをかじるような虚しさとなって夜の気配に溶けていく。

 息をするのがつらい、窮屈な世の中だから。少しでも膨らんだ「こり」に針を通したくて、生きなきゃいけない理由を模索している自分がいる。

 手首を切った。首を括った。薬を飲んだ。入水した。

 血は止まった。ドアノブが壊れた。頭痛で終わった。苦しさに目を覚ました。

 薄くスライスしただけの死は、三途に飛び込もうとする僕の服を引っ張るのだ。

 臆病な僕は、その余韻に直接死を拾うのを躊躇う。

 だから躊躇する理由を自分なりに考えてみた。

 からから計算の後に置いてあったのは、罪悪感。

 僕というひとつの生き物が出来上がったのは、まぎれもない僕以外のものの所為だから。僕以外のものに明瞭な「何か」を返さなくてはならなくて、これは義務じゃなくてやらなくてはならないことなんだと思う。

 生きてきた負債を清算すること。それが生産性のない凄惨なものでも、置いてあった罪悪感の正体だった。

 勝手な自己満足でも構わない。負債の大半は勝手な自意識で出来ているのだから。

 体をなぞれば、深淵のない虚が広がっている。言葉では満たされない、心では埋まらないそれを蓋する理由がなくなれば、幕を引けるきがするんだ。

 盲目的に妄動的に妄想的に生きて、衝動的で焦燥的で消極的なままじゃだめだった。

 退廃で厭世観な僕の長い長い、自問の答え。

 さよなら生命、くたばれ心。

 死にぞこないは模造道路を歩きだした。

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