でんちゅう随想録

夜のような虚無が好き。

夜、跋渉

  嫌な暑さにベールをかけるように、夜の帳は涼風を吹かせていた。辺りはまばらに斜陽を生きる人々が歩いている。太陽が照らさない闇の姿がそこには必然として跋扈しているのだ。

  点々と街灯色になっているアスファルト

  年季の入った様子が伺える、茶色くところどころが変色したシャッターを下ろしている店頭。

  放浪するように転がる空き缶、いざなうように歩く野良猫。

  大きなデパートや駅の建造群は、壁の様に黒塗りで聳え立つ。

 久しぶりに、幼馴染と遊ぶ出来事があった。

 邪気の無い意味で、幼馴染は僕の中にいる記憶の中と遜色なく成長していた。

 だからだろうか。脱却の意味を込めて、日々を捲るごとに僕は僕なりの変化を施していった。しかし幼馴染の彼は、脱却する前の僕を掲げたまま旗を振っていた。

 明るく奔放で、しっかりとした自分を持っていたころの僕を。

 だから再会した後も、僕は彼の中の記憶にいる僕を汚さないよう慎重に接することしかできなかった。しかしその悪夢のような出来事は加速して、飲み会へと発展してしまった。告白された女の子、告白した女の子、かつての部活仲間、クラスメイト、、、。みんな、過去の僕しか知らない人間ばかりで。話題になるのはやはり、僕の変貌ぶりとかだった。

 ただただ、目の前を横行する言葉たちは火となって、蝋で固められた仮面をとかしていく。

 

 しばらくひとり。

 

 友人もいなく、知人も少なく。頼られることはあっても、頼ることはできなくて、いつも貧乏くじを引いてしまう。そんな日々を送っていると、たまらない孤独に襲われることがある。だから、友達が欲しいと希望を抱いてしまうのだ。

 けれど理想と現実は表裏のようでいて全然違い、分かっていても抱いてしまう希望に、敢え無く切り捨てられてしまう。カルーアモーツァルトのような味が好きでも、いつも口の中に広がるのは苦手なビールの味。

 しかしそんな味を忘れさせてくれるのが、夜の気配。

 宵闇は僕のどうでもいい嫌悪も、悩み事も呑み込んでくれてる気がして、気が少しだけ楽になる。

 虚無が好きだ。嫌悪する自分という個人も、取り巻く現実も、どうでもいい。

 無償の愛情も、無垢な友情も、今の僕にはいらない。

 虚無な孤独感を外套に、自棄な思いを頭巾にして、、、、。

 夜、跋渉。

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