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星になりたかった。

綴雨

 人に褒められる。褒めた人間の魂胆を探る。視界に人が映る。映る人間の視線に身を縮こませる。公共機関に乗る。自分の呼吸がうるさくないか気になって、耳にイヤホンを挿せない。人と会話する。後になって、自分の喋りに間違いがなかったか、何度も反芻する。自分の容姿を醜くさらしていないか気になって、マスクをつける。自分の体が怠惰に肥えているように見えて、毎日体を鍛える。

 自分の体の中に異物を入れるのが嫌で、食事は控える。トイレに行くのも嫌い。だから余計な摂取をしなくなって、可能な限り「ちょうど」のとれた、循環をなす体を維持させる。コンプレックスを気にして、鼻プチ、メディキュット、ローラー、コルセットを購入する。

 自分の部屋を一瞥したときに、ごみが存在するのがストレスで、なるべくごみを生産しないように生活を送る。汚いのが嫌いだから、シャワーと歯磨き、掃除から選択まで毎日かかさず行うようになる。

 人間嫌いだから、あまり外には出ず。喋りも不得手だから口を動かすことが少ない。自分主義で、自分の世界しか崇拝していないから、他人のことも見てるようで見ていない。結果、変わり者扱いされて、一人で過ごすのが多くなる。

 そのくせ日によって孤独が嫌で、人さみしくなるときもある。多目型ストレス性症候群だから、不用意にストレスを自分に与えるとおかしくなってしまう。

 上から目線で、毎回人のこと評価する。ああこの人のここが嫌だ、この人はこういう人間だから、いずれ自分にこれこれこういう影響を当てるだろうから、なるだけ会わないようにしよう、みたいにずっと考えながらいる。嫌いな人のことは、とことん嫌い嫌いと繰り返しながらでいるから、嫌いな人と長くいると、具合が悪くなってしまう。

 週に一回は貧血が襲い、体調が快調のときは数えるぐらい。

 子供みたいに、「幸せ」とか「生きる意味」とかを一日に一回は考えてしまう。

 自分という人間性を。自分の中にずっと居座る思想を。改革したいと思いはするも、変わらない。

 他人の評価を気にする。自分をいつも客観視するもう一人の自分がいる。

 小説が好き。景色が好き。夏よりは冬が好きで、珈琲よりも煎茶が好き。身を清めることが好き。夜のノスタルジックな雰囲気が好き。一人が好き。

 死ぬ理由はない。生きる理由もないけれど、生きる先に目標は掲げている。夢はない。憧れはある。やりたいことはないけれど、やらなきゃいけないことはある。

 深淵よりは確実に明るい位置で生きている、小さく回復している自分を自覚する。

 恥の多い生涯を生きてきたかもしれない。尊大な羞恥心と臆病な自尊心をもっている。生まれてきてすみません。いまはもう思っていない。地球の生活と同じ、いつか現れるかもしれない死を、自分で毎日死の原因を作りながら、その瞬間を手繰り寄せる。

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった、この感慨のように長い人生を抜けた先に自分が望んだ景色があることを祈って、今日も床に就く