でんちゅー

お面の向こうは社会

恋憧憬:1

 不思議な人でした。

 趣味はマンホール観察で、マンホール一つ一つの劣化や差異を発見するのが醍醐味と語っていた。残念ながら僕がその趣味を共有することはなかったけれど。

 黒髪で長髪で、綺麗に手入れされた毛先が背中まで伸びている後姿は、図書館の司書を訪仏させる清楚さを、印象付けられた。

「君は、今でもずっと覚えているくらいに、強い影響力を持った男の子でした」

 僕が彼女と最初に出会った小学校1年生のころから、僕が転校する小学校5年生までよく一緒に遊び、僕が転校してから初めてもらった手紙の書き出しはそうだった。

 当時の小学校の僕は、いわゆるやんちゃで明るく、いい意味での問題児、クラスの中心的な存在だった。その分この文章にどんな意味が込められているのか汲み取ることができなかった。

 そうして数回の文通をして、中学2年ぐらいのころにはそれもなくなって、僕と彼女をつないでいたものは消滅した。

 そして高校生になり、学ランを着崩せるようになったころ、LINEで過去に文通でつながっていた彼女と再びつながることになった。これが今で思うと2度目の出会いだ。

 文通に比べ、はるかにテンポの良い会話が成立するLINEでは、手紙では書けなかった互いの趣味とか好きなものとか、ひたすら語り合った。会話の摩擦は僕と彼女の距離を縮めていって、一緒に遊ぶな仲にまで発展した。

 その仲は高校1年生の冬、彼女の告白がきっかけで彼氏彼女の仲に変化を遂げた。

 これが彼女と僕が出会い、関係になるまでのいきさつで。

 子供であり続けた僕がようやっと水を浴びることになる始まりだった。

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 2に続く。

 

 ※これは自分の過去の青春を、小説チックに書いてみたものになります。