縷々

星になりたかった。

無力さを握りしめて

 物語において、主人公がヒロインを救う描写がある。しまいには、主人公一人が世界を救って見せたり、いろいろな人間を助けていく場面がある。

 簡単にやってのけているようで、現実的に人一人が救うというのはとても難しい。

 今まで何度もここで吐いてきたけれど、僕は他人が嫌いで、自分主義なところがある。そして、そんな自分でも好きな人間ができ、その人のために行動していきたいと考えるようになった。

 彼女は過食症で、自己嫌悪と定期的に訪れる鬱で悩んでいる人で。また、罪悪感を過剰に感じる人だから、周りに助けを求めたりしないで、一人閉じこもってしまう方です。

 だから、何度も何度も扉をたたいて、彼女が悩んでいることや、溜めていた愚痴を話してくれた時はすごくうれしかったし、自分にも自信を持てた気がしました。

 そのことに自画自賛し、おぼれることも決してないように彼女を受け入れ、支えようと奮闘しました。

 けれど、どうしても互いに違う場所に住んでいたから、手の届かないところがあって、助けたくても不可能の壁が立っていることがあった。

 その壁を何回も壊して、乗り越えてきた気でいて。彼女も少しは回復の傾向にあったから安心していた。しかし突然として、拒絶が横たわった。

 何かあったら言ってね。できることはやる。何かあったら駆けつけるから。話してくれるだけでもいいから。

 この言葉たちは、彼女にとってどのように今まで聞こえていたのかはわからない。戯言だったかもしれない。少なくとも、そう声をかけていくと、だんだんと笑顔を見せてくれるようになった彼女の姿を見て、害ある言葉として響いていたとは到底思えなかったし、今も間違っていたとは思っていない。

 だが、彼女がったひとつ呟いた一言は、自分の中の何かをあっという間に瓦解させた。

 無理だよ。

 そう彼女は言った。

 それが何を示すのか、何を表すのかは、理解が及ばなかった。

 ただ今までとは違う、拒絶にも似たようなあきらめを感じ取った。

 今は放っておいてという彼女を自分は、言葉をかけることもやめて、「わかった」とこうして画面の前で待っている。

 瓦解した自分の中の隙間を埋めるようにして不安と恐怖が忍び寄る。サイトで、自分と同じような境遇の方々の体験談、コラムを読むと、それらはすべてバットエンドで。他人の話のはずなのに、自分のことのように聞こえてとてつもない震えが止まらない。

 彼女の前では決して軽々しく助ける、なんてことは言わなかったけれど、心の中では救うという行動の覚悟を決めていた。しかし、その覚悟は彼女に届いてくれなかったと足踏みする思い。確かに、精神関係の事柄は、本人が自力で回復するしかないというのは重々理解していた。

 周りの人ができるのは、ただ話を聞いて受け入れて、当人を肯定してやることしかできないというのも、承知していた。

 しかしここにきて初めて、何もできない、力になることができないという違う人間だという無力さを感じた。非科学的なことを言うと、自分が彼女の心そのものに侵入、干渉できないことにものすごい憤りを覚える。

 この思考は急降下する一方で、自分も鬱になっていくのが自覚できてしまう。今はこちらまで倒れてはいないという思いでかかとに力を入れられているが、いよいよ何かあったら倒れるかもしれない。

 経済的に彼女を養ったとしても。同棲して、生活を一緒にするようにしたとしても。それはまだ彼女が望んでいることではないと思うし、それこそ自分が常に考えている「助けたい」ということとは離れた場所にあることだと思った。

 人間一人が、違う人間一人を救うということは、とてつもなく難しい。

 今はこの手の震えが止まることを望むばかり。

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